[interview]サワディタイランド~江本孟紀総監督~

北京オリンピック野球タイ代表総監督
江本 孟紀(えもと たけのり)さん

 今年5月にタイナショナルベースボールチームの総監督となって、タイの野球、ひいてはアジアの野球の発展のためにボランティアで東奔西走する江本 孟紀さんにお話をうかがいました。(8月22日)


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編集部 江本さんがタイナショナルベースボールチームの総監督になられたと聞いてビックリしました。

江本 たまたま、タイで3年ぐらいボランティアで監督をやっている後輩に会った時に、タイの野球を振興させるために協力してもらえないかという話があって。何をしたらいいかって聞くと、お金もないし教えるコーチもいないので日本の球界が支援をできる体制にもっていってもらえないかと。

編集部 タイでボランティでやっていらっしゃるんですか。

江本 タイにかぎらずアジアは皆そうなんですよ。野球を振興したくても、そういう人材がボランティアをやっている人以外にいないんですよ。それで、今年の4月にタイナショナルチームの総監督になって、各方面への協力の呼びかけとコーチの手配をすることにして、まずタイに常駐する監督を寺岡さん(王ダイエーの初代ヘッドコーチ)にお願いしました。もう一つは、てっとり早くレベルを上げるための強化合宿。その(日本への渡航)費用をタイ・ホンダさんに、日本側の受け入れ先を京丹後市にお願いしました。京丹後市では、日タイ友好の一貫として市をあげて、宿舎とか食事とか球場を用意して全面的に受け入れてくれることになって、今タイチームが合宿をしています。そういうセッティングをやってきました。

編集部 多方面で活躍されている江本さんの力は大きいですね。

江本 大きいというより、僕らが動かないとなかなか見てくれない。今も今回の件でかなりメディアに露出してきていますし、先日もテレビが練習風景を取材してオンエアしてくれました。

編集部 今後の予定は?

江本 11月26日から台湾の台中市で、Bグループのタイ、フィリッピン、香港、パキスタンの4カ国で一次予選。これに勝ったチームが二次予選で、Aグループの日本、韓国、台湾と試合をすることになるんです。

編集部 タイチームのレベルは?

江本 日本の高校生レベル。あと10年以上かかるでしょうね。

編集部 今のチームの中に日本のレベルに達している人はいないんですか?

江本全然いません。やっぱり、ひとりでボランティアをやっていてもどうにもならない。コーチがいないと無理ですね。タイには野球の運道具屋がなくて、こちらから送れなければならない。道具は送ればいいけど、一番大きいのは人件費がかかるコーチ。人間がいないとね。その手当ては僕らがしました。寺岡さんという人が奥さんと二人で来てくれた。おそらく、常駐のコーチがいるというのはアジア地域で初めてじゃないでしょうかね。そういう状況なんです。


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編集部予想ではどの辺まで行きそうですか?  

江本 今、亜細亜大学のエースで、白倉キッサダーというタイ国籍の選手がいるんです。数球団が彼をリストアップしているほどの選手で、彼がエースとして投げるといい試合ができると思う。彼がBグループの4カ国を抑えてくれれば、二次予選の初戦は日本。星野ジャパンとの試合は可能性がありますね。星野ジャパン対江本タイランド。ここまでいければ大きな貢献することになるので、ぜひ、そこまでを目指していきたい。そうすれば国内外にタイの野球というものがある程度認識されるのではないかと。そこまでを目指して強化合宿をやっています。このあと、選手を数名、横浜ベイスターズが強化の為に受け入れてくれて、一緒に練習して送り返してくれることになっています。そういうわけで、日本の各球団関係者球団関係者も私が声をかけて、ある程度協力を申し出てくれることになったので、当初の目的は達しています。あとは選手にがんばってもらうしかない。タイが国をあげてナショナルチームを支援、応援してくれれば、選手もがんばるのではないかと。

編集部 タイでは野球はマイナーで、何といってもサッカーですね。

江本 そう。タイのスポーツはサッカーが一番。野球はマイナーなスポーツで、野球を一生けん命やることによって高い契約金をもらえたら、大きな目標になると。若い人たちも考え方が違ってくると思うんです。

編集部 打倒星野ジャパンの可能性は?

江本 胸を借りるというレベルにもいかない。ほんとうに子供と大人が野球するほどの差があるからね。(日本には)コールドで負ける。勝敗うんぬんより、そういう場に出られるというのに意味がある。

編集部 一次予選を通過するための秘策はありますか?

江本  それは白倉。エースが抑えてくれればね。一番のライバルは歴史が長いフィリッピン。米軍キャンプのあったところは皆一応野球をしてますから強いよね。フィリッピンに勝てれば、なんとか一次通過して、3日後に星野ジャパンとの対戦。選手同士がやるぶんにはあんまり話題にならないと思うけど、向こうのベンチには星野監督がいて、こちらはタイ人のコーチがひとりいますけど、日本人の監督とコーチ、そしに僕が総監督にいて、メディアもそれを聞くとけっこう騒ぎになると思う。

編集部 将来的には?

江本 野球は、アジアでは日本、韓国、台湾、中国の一部ぐらいしかまともにやっていない。国際オリンピック協会は、参加国の最低基準を下回ることを危惧して、北京オリンピック以降の正式種目から除外しようという動きがあります。そうならないためにも正式参加国のレベルアップが必要です。周辺国にはゆくゆくタイをモデルケースにして形ができていけば、アジアの野球に貢献していけるのではないかと、期待しています。

編集部 タイに行かれた印象は?

江本 タイは、この件で3月26日に初めて行きました。それまで、タイといってもあまりピンとこなかったけど、3度ほど行ったり来たりして、一口で言うならば、居心地がいい。それと、メシがうまい。単純なんだけど、その単純さが大事。今まで(他の国で)感じた感触と違うなって。

編集部 これまでタイのどこに行かれましたか?

江本 バンコクだけです。チームのいるバンコクから北へ ~ 分のところで、地名はわからないです。地元の人に聞いてもわからない。(笑い)国立の球場があって、日常はそこで練習しています。タイのミネビアさんという日系の会社が日常は面倒を見てくれています。

編集部 タイで観光はしましたか?

江本 王宮に行きました。すごいですね。歴史のある立派な建造物で。僕は日本にいてもどこ行っても観光はあんまりしない。そこにいればいいんですよ。そこで空気がわかるっていうか。

編集部食べ物がおいしかったということですが、特においしかったのは? 

江本 一番うまいと思ったのは、フードコートで食べたビーフンの細麺。パクチーが入っていて、あれはうまい。あとパッタイがうまいしトムヤムクンもうまい。そういう基本的なものがうまい。それに、ウォーターメロン(すいか)ジュースがおいしい。ホテルに着くとロビーですぐ頼む。3杯位飲めちゃうね。タイ料理にもはまっていて、昨日も東京ドームの帰りにタイレストランへ行きました。

編集部 また、タイへいらっしゃるんですか?

江本 セッティングが大変で、まだ僕自身が直接教えたりしていないんですが、10月のときはちょっとやろうと。

編集部 それでは、タイチームを二次予選で見られることを楽しみにしています。

江本ぜひ、応援してください。

プロフィール
江本 孟紀(えもと たけのり)
 1947年7月22日高知県生まれ。プロ野球選手として活躍後、1992年に参議院議員初当選。2004年に離職。現在はサンケイスポーツを中心にフジテレビ、ニッポン放送などでプロ野球解説者として活動する傍ら、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督を努めるなど、野球界の発展に努める。ベストセラー「プロ野球を10倍楽しく見る方法」など、著書も多い。

2007年10月24日
 

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